かげのダンスとVR

前回からの続き。そんなことを考えながら、たんぽぽの家の人たちと定期的に議論を進めていくうちに、パフォーミングアーツを主体に活動しているメンバーとのコラボレーションが面白いんじゃないかという話になった。

たんぽぽの家では、活動当初から演劇やダンスなどのパフォーミングアーツに取り組んでいて、2004年からはジャワ舞踊家の佐久間新さんと即興的なダンスに取り組み、2011年から定期的なプログラムとして「ひるのダンス」というプロジェクトが継続されていた。月に2回、佐久間さんとさまざまなテーマで人やものや環境との関係性をダンスを通して探る取り組みで、2年前からは「かげ」をテーマに、懐中電灯や音が鳴る物を使って即興のパフォーマンスに取り組んでいることを知り、ひとまずその様子を見学させてもらうことになった。

時間になってホールにメンバーが集まると、特に佐久間さんから説明があるわけでもなく、稽古とも遊びともつかない何かが緩やかに展開していく。最初はそれぞれが好き勝手に動いているようで、次第に誰かの何かの動きに周りが呼応するような流れが自然と出来ていく。そして「かげのダンス」と言われるように、暗い空間で懐中電灯を振り回したり、頭にヘッドライトをつけて首を振ることで、例えば手があまり動かなくても影はダイナミックに動くのがとても面白い。

この「かげのダンス」をインスピレーションに、VRでもかげをテーマに何か出来ないか、と考えた。これはゲームではなく、あくまで舞台装置のような役割。現実とはまた違う形で「かげ」をVRで表現してみることで、どんな動きが生まれるか。そんな実験をやりながら出来たのが昨年の「CAST」という作品だった。

詳細は以下にレポートがある。

https://art-well-being.site/archive/48/

ちなみに今年も引き続きこのプロジェクトに関わっていて、今年は「水」をテーマにすることになっている。先日もトライアルのために奈良を訪れていたが、そのことはまた改めて。