Think twice, bend once.

スウェーデンのストックホルムを拠点に、シンセサイザーやサンプラーなどユニークでアイコニックなデザインの電子楽器やオーディオ機器などを多数リリースしているteenage engineering。

https://teenage.engineering/

そのプロダクトは、グラフィカルでファンクショナル、レトロでポップ、かっこいいけどユーモアがあって、音楽をつくるわけでもないのに無性に欲しくなる魅力がある。最近リリースされたサンプラーK.O.IIもプロダクトのロゴの下にカタカナで「サンプラー」と書いてあったり、Webサイトのヘッダにも小さく日本語が書かれていたり、日本のカルチャーの影響も受けているようだ。

気になって調べていたら、ファウンダーJesper Kouthoofdの2018年のロングインタビューを見つけた。なかなか面白かったので気になったところをメモ。

17歳からグラフィックデザインを学んだが、エンジニアリングの仕事に憧れ、Berghs School of Communicationでエンジニアリングを学んだ。

父は建築家。スカンジナビアのデザインは退屈。Superstudio やArchigram が好き。

TE設立前にやっていた広告の仕事でABSOLUT VODKAのために「Absolute Choir」というインスタレーションを制作。(※のちに商品化されるChoirの原型。)

プロダクトデザインをする時に重要にしていることは「製品を一度見たらその絵が描けるか?」ということ。

(デザインとは?と聞かれ)コミュニケーションが全て。誰が読んでも意味が通じることばを選ぶように、誰が見ても分かるようにデザインする。「美しいものを作ろう」という意識はない。しかし、完璧なコミュニケーションとして成立するデザインであれば、自ずから美しさを持つと信じている。

「製品を一度見たらその絵が描けるか?」というプロダクトデザインポリシーはなかなか面白いが、確かに言われてみればなるほどその通りのデザインだ。

ちなみに自分はミュージシャンでもサウンドデザイナーでもないので、(欲しくはなるが)電子楽器系のプロダクトは今のところ持っていない。ただ、数年前に仕事用のPCが必要になったときに、ちょうどリリースされたPCケースComputer-1を買ってみることにした。自分たちで使うためにデザインしたものを商品化したらしい。

届いたのはペーパークラフトのように型抜きされた、フラットな数枚のアルミ板。ミシン目のようになっているところを自分で折り曲げて組み立てる方式だが、アルミなので一度折り曲げてしまうともう元に戻せない(無理に戻そうとすると折れてしまう)。これをユーザーにやらせるとはなかなかすごいなと思ったが、アルミ板が包まれていた紙に小さく書かれたメッセージに唸らされてしまった。

Think twice, bend once.

1回しか曲げられないから、2回考えてから曲げろというメッセージだ。さすが洒落が効いている。ユーザーが折る向きを間違えたらクレームになってもおかしくないようなところを、このコピーひとつでニヤリとさせられ、ファンになってしまう。まさに秀逸なコミュニケーションデザインだ。

実際、組み立てるのはなかなか大変だったが(そこそこいいGPUを載せようとしたからだが、、)やはり他にはないデザインで気に入っている。

teenage engineeringは今年のCESで話題になったAIデバイス Rabbit R1 のデザインも手掛けている。今後の動きも要注目だ。