ALL ON?

米を作ったり、薪を割ったり、地元の温泉宿での新年会に参加したりといったことを書いていると、もう東京には来ていないと思われたりするが、なんだかんだ週に1,2回は東京で仕事をしているし、相変わらず新しいテクノロジーに触れる機会も多い日々である。

Takramでは、世の中の変化をキャッチアップするために、自主的なR&Dなどに取り組む「Mark@」という仕組み(Takramを逆から読むとMarkatという言葉遊びだが、それぞれの専門分野を常に探索してマーキングするような意味が込められている)がある。

僕が参加しているMark@Design Engineeringでは、デザインエンジニアリングに関連する新しいデバイスやテクノロジーにいち早く触れて実験をしたり、展覧会やイベントのリサーチなどを日々行っていて、この日はその一環として、虎ノ門ヒルズTOKYO NODE LABで行われた日テレ共創ラボ主催のCES2024報告会に参加してみた。

CESは毎年1月にラスベガスで行われる世界最大規模のコンシューマーテクノロジーの見本市で、今年は本格的にコロナが明けた年ということで注目度も高かったようだ。

以下、報告会のメモ。

CESを主催しているCTA(Consumer Technology Association)は設立100周年。CESも50年以上の歴史。

2024年のキーワードは「ALL ON」。何でもあり?全部のせ?

大企業中心のTech East、スタートアップ中心のTech West、メディアコンテンツ系のTech Southの3会場に4300社、13.5万人が参加。

CTAによるTech Trend to Watchでの今年のトレンドは「AI」「サステナビリティ」「インクルーシビティ」「ジェネレーションパワー」

あらゆるカテゴリーでAI,AI,AI…。

サステナビリティはもはや当たり前。

インクルーシビティは例えばロレアルが障害者向けのメイクアップツールを出していたり。

AI x ビューティーテック。ロレアルが基調講演。資生堂はスキンケアARナビ、鼻の骨格から未来の肌悩み推定など。

AI x ヘルステック、AI x スポーツテック、AI x スリープテック、AI x ペットテック、AI x エイジテック、、(エイジテックで紹介されてたElli Qは、だいぶ前に見た気がすると思ったら2017年にイヴ・べアールのfuseprojectがデザインしてたやつだ。)

モビリティ領域は、AI化、ソフトウェア化、プラットフォーム化。

XR領域は、有象無象がHMDを展示。(でも話題の中心はVision Pro?)

Canonのボリュメトリックキャプチャ。(TOKYO NODE LABにはボリュメトリックキャプチャスタジオが併設。)

イベント時の無線の混雑を解決するVIREWIRX気になる。

SONY x EPICのTORCH LIGHT。(SONYはシカゴにWONDERVERSEをオープン。)

LGは透明OLEDディスプレイ。

今年はSphere見たさに来ている人も多かった。

日テレR&Dは情報発信を頑張った。(確かによく見かけた)

全体感を掴むにはちょうどよいボリュームのレポートでふむふむと思いつつ、日テレR&DのXではもっとたくさんのレポートが挙がっていたので紹介されなかった話もたくさんあるだろう。また一応他のCESレポートも見てみると、例えばこのレポートでは、基調講演も行ったシーメンスによる産業、製造業領域のDX(Microsoft、AWS、ソニーとのパートナーシップなど)に注目していてこうした違いも興味深い。一つの視点だけでわかった気になってはいけないし、見に行ってみないとわからないこともある。

とは言え、そもそもこうした派手なテクノロジーショー自体が今後どうなっていくのだろうと、やや引いた目線で見ている自分もいる。「ALL ON」と言われると、こうしたテクノロジーがあらゆる領域に広がっている印象があるが、世界はもっと広いよと言いたい気もするのである。